まあるいガラスの浮き玉。

大海原、お日様の光を浴びながら、キラリキラリ。
厚い透明の膜が、空気を含んで、閉じ込めた。

「過去」か「未来」か、わからない。
「今」という場所で、ぷかぷか浮かぶ。

かすかに滲む外の世界は、
目を凝らしても、凝らしても、遠く霞むばかり。

、、、ああ、目眩がしてきた。

『内から割るか?外から割るか?』

浸水して、ぼくは、溺れ、海の藻くずと化すのか。
はたまた、新しい空気に触れ、生きる喜びに打ち震えるのか。

すべては粘膜のごとき、ガラス玉の中の思考。

、、、ガシャ〜ンっ!、、、ぱりん、ぱりりんっ。

耳を澄ますと、かすかに聴こえた。
共鳴して、ぼくのガラス玉がピリピリピリ。
何処かで誰かが、割れた。

きみは沈むのか?羽ばたくのか?

冷たい内側をなぞる。

きゅきゅきゅきゅきゅ。
耳障りな音をたてるが、ぼくは、尚もしつこく。

きゅきゅきゅきゅきゅきゅぅぅぅ〜〜〜〜。

割れない程度の力加減を知っている自分。
、、、情けない。

「ちきしょうっ!ちきしょうっ!!」
そのたび、内側は鳴いた。

きゅきゅきゅきゅきゅ〜。
気付いたら、涙は首元まで。

息を止め、訪れる静寂。

、、、どちらにしても溺れるということか。

その時、ぼくの判断は、世界中のなによりも速かった、、、はずだ。

ピシっ。

拳の痛みは本物であってほしい。あってほしい。
あってくれっ!

、、、目を瞑って、耳を澄ます。

浮き玉は今日も流れる。

ぷかぷか、キラリ、キラリ。
がしゃ〜んっ、ぱり、ぱり、ぱりり、、、ピシっ!

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